【7月、8月振り返りレポート①~吹奏楽コンクールを通して感じた大事なこと~】

9月に入り少し涼しい日も増えてまいりましたが、みなさまにとって今年はどんな夏だったでしょうか。お家で静かに過ごされていたという方もいれば、コロナ関係の規制が緩和されて旅行や帰省をされる方も多かったのではないかと思います。
私はといいますと、吹奏楽コンクールに向けた部活動レッスンやR & S初のコミックマーケット出展、打楽器ワークショップの開催、レコーディングなど、お陰様で色々活動をさせていただきました。
たくさん良い経験をさせていただいたので、テーマを分けてレポートにしてみようと思います。第一弾は吹奏楽コンクールに向けて携わったある学校でのお話です。

①吹奏楽コンクールとは?

エピソードをお話しする前に「吹奏楽コンクールとはそもそもどういうものなのか?」と思っていらっしゃる方もいると思いますので簡単に説明します。

”吹奏楽コンクール”というのは、野球でいうところの「夏の甲子園(全国高等学校野球選手権大会)」のようなものです。
吹奏楽コンクールは人数編成によって出演できる部門が変わり、基本的に中学校・高校では55人以下がA編成、30人以下がB編成という部門になります。
そして、A編成の団体は俗にいう”吹奏楽の甲子園”である「全日本吹奏楽コンクール」、(東日本地区の)B編成の団体は「東日本学校吹奏楽大会」を最終目標にコンクールに挑んでいきます。
「みんな全国大会目指すんじゃないの!?」と思われた方もいるかもしれませんが実は違うのです。
ちなみに神奈川県の場合は、地区大会→県大会→東関東大会→全国大会or東日本大会と進んでいきます。
そして、客席で演奏を聴いた審査員たちが地区や大会毎の審査方法により採点し、「金賞」「銀賞」「銅賞」を決め、高得点だった上位何校かが上の大会に進むことができるのです。


②ある高校の吹奏楽コンクールを通して


さて、話を戻します。
これは8月に神奈川県のある高校の吹奏楽部にレッスンに行った時のお話です。
その高校は7月に地区大会でめでたく金賞を受賞し、かつ8月の県大会への出場が決定していました。

県大会本番の3日前。
近隣のホールを貸し切って練習をしていたのですが、パーカッションの1年生の女の子が曲の中の数箇所がどうにも叩けない…。私はどうしようか考えました。
というのも、こういう時、本番までの日程を鑑みて、戦略として叩けない部分をカットしたり譜面を簡単にするということをしばしば行います。本来はあまりやりたくないことなのですが、コンクールという「競争」に出る学校に講師として呼ばれるからには、勝ちに行かせるように音楽をつくっていくことも必要なことなのです。もちろんその学校がどこまでそれを求めているかにも寄りますが。

「超短期集中レッスンをして練習させ、本番にかけるか」「ここで譜面をある程度カットするか」

すると、指揮者の先生が一言「本人がどうしたいか聞いてみよう」と言いました。
私は本人にどうしたいか聞いてみました。そうしたら返ってきた言葉が「やりたいです」
私の心は決まって、それから合奏終了後もつきっきりで個人レッスンをし、あとは本番にかけることにしました。

県大会当日。
パーカッションは学校から楽器をトラックに積み込んで会場まで持っていき搬入、楽器組み立て、舞台にセッティングという作業があるので、私はそのサポートで会場に行きました。また、打楽器にもチューニングの必要なものがあるため、楽器を搬入してから舞台に向かうまで他の学校の順番待ちをしている間、チューニングを行ったりしました。
順番が来て、舞台に打楽器もセッティングし終え、迎えた本番。

私は舞台袖で演奏を見守っていました。
聴いていてまず感じたのは、パーカッションのみんなはもちろん、部員全員がこの数か月間でかなり技術的に上手くなったなぁということでした。だからこそ県大会に行けた訳ですが、教える側としては感慨深いものがありました。

そして、パーカッションの女の子。とても心を打たれました。

3日前に集中レッスンした箇所が飛躍的に上手くなっていたのです。彼女が3日の間でどれだけ頑張ったかということがひしひしと伝わって来ました。やはり叩けていない箇所もありましたが、そんなことは関係ない。
想いの詰まった素晴らしい演奏でした。

演奏後、労いの言葉をかけたところ、本人もやり切ったようで清々しい声で「ありがとうございます。」と言ってくれました。

夕方に結果発表があったのですが、結果は「銀賞」。東関東大会に進むことはできませんでした。

けれど、部員みんなのレベルは昨年より確実に高くなっていて、伸びしろをとても感じることができたのでまだまだこれからが楽しみです。
そして、パーカッションの女の子の一件を通して、勝ち負けの「結果」ではない大事なものを改めて感じることができました。

まだまだ精進。












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